思いの外、大きくなってしまったその声。
「な、なに!? 急にでっかい声出さないでよっ!!」
それを背中で受けた美月は目を見開いて振り返り、わざとらしく胸の辺りを押さえている。
「美月、サッカー好きだったよね?」
「サッカー? うん。てゆーか、カッコいいサッカー選手が好きなんだけどね」
「……」
この……ミーハー娘め。
まぁいいや。
「今、スタジアムで試合やってんじゃん?」
――そう聞いた瞬間。
「えっ!! 何!? おねぇー、まさかチケット持ってるの!?」
美月は、もの凄い勢いで私に近寄ると、鼻と鼻がくっつくんじゃないかと思えるくらいの距離までその顔をグッと寄せてきた。
「いや。な、ないけど……」
鬼気迫る様子に、顔を引きながら答えると、その表情はみるみる萎んでいって。
「なぁ~んだぁ」
目の前の美月が、さっきまでの勢いを一気に失い、超ガッカリ全開の顔で溜め息を零した。
だから余計に気になって、何気なく浮かんだ疑問を口にする。
「そんなに有名な試合? チケット取れないの?」
すると美月は次の瞬間、元から大きな目をさらに見開き、
「……おねぇー、知らないの?」
心底びっくりした様子で、質問返しを繰り出してきたんだ。

