きせき


――コンコン。

どれくらい、そうしていたのだろう。

部屋のドアをノックする音が聞こえて、シバシバする目をゆっくりと開いた。

「おねぇー、入っていい?」

ドアの外から4歳年下の妹、美月《みつき》の声がして、私はむくりと起き上がった。

「どーぞー」
「おじゃま~……って、おねぇー着替えないで寝てたの?」

出掛けた時と同じ格好だった私を見て、美月は呆れたような声を出して怪訝そうに眉を顰める。

「あ~…、そうみたいだねぇ」
「“そうみたいだねぇ”って……。まぁいいけど。ねぇ! 英語の辞書借して!」

「あ~、机から取っていっていいよ」
「ありがとー!」

ご機嫌な様子で机に向かい、棚から辞書を取って部屋を出て行こうとする美月の後ろ姿に、

「み、美月!!」

気が付いたその時には、もう声をかけていた。