きせき


その後、ひとしきり笑い終え、「はぁ……苦しい」と息も絶え絶えに呟いたお兄さん。

「笑い過ぎです」
「あぁ、ごめんね。くくくっ」

謝りながらも、まだ肩を揺らしているしね。

「でも、あいつがそこまで女の子に必死なの初めて見たよ」
「え?」

彼は、戸惑う私に向かって自分の知る限りではね――と付け加え、にっこり笑う。

「あいつ、ずっとサッカーばっかりやってたからさ、昔聞いたことあったんだよ。“お前、彼女とかいないの?”って。そしたらあいつ、何て言ったと思う?」
「……えっと」

そんなこと、急に聞かれても。

「なんて言ったんですか?」

そう聞き返すと、お兄さんは、いたずらっ子のような視線を私に向けて、

「“は? 女ってほとんどサッカー出来ねーじゃん。つまんねーよ”って、眉寄せながら言ってたよ」

その時のことを思い出してか、“くくくっ”と、笑った。

「……」

――ちょっとだけだけど。

その時の宮崎航太の表情が想像出来てしまった。

想像が出来て……だから私も少しだけ、お兄さんと一緒になって笑ってしまった。