「航太、本気だと思うよ?」
音楽も何もかかってない車の中で、お兄さんはハンドルを握りしめたまま、微笑みを浮かべて私に視線を送る。
「……」
「ははっ。こんな話したってバレたら、またあいつに怒られるな」
私の反応を少し楽しんだ後、正面に視線を戻し、ふわりと優しく笑った。
その表情から、この人は自分の弟である宮崎航太のことが大好きなのだということがヒシヒシと伝わる。
男兄弟ってよく分からないけれど、意外とそんなもんなのかな?
「美青ちゃんは、あいつのこと、好きじゃない?」
「え?」
「あー、ごめん。俺が口出しすることじゃないか」
今日はやっぱり、何かおかしい……。
だって、苦笑いするお兄さんに、さっきから本音がポロポロ零れてしまうんだもん。
「好きじゃないことは……ないと思うんです。ただ、」
「うん。“ただ”?」
「まだ彼のことを知らなすぎるというか」
「……」
――え?
私の言葉に、さっきまであんなに楽しそうにしていたお兄さんが、急に黙り込んだ。
「航太と……知り合いじゃなかったの?」
「昨日、初めて話したんですけど」
突然様子が変わったお兄さんに、戸惑いながらも正直にそう告げる。

