きせき


「……」

ちょっと悔しくて、お兄さんを軽く睨みつけてみる。

「ん~?」

睨んだところで、相変わらずのらりくらりとかわされた私は、溜め息を零しながら思わず本音を漏らしてしまった。

「からかわないで下さい……。何か私、いっぱいいっぱいなんですから」

するとお兄さんは、何故か嬉しそうにその目を細める。

「ごめん、ごめん。からかってたわけじゃないんだ。ただ……」
「“ただ”?」
「航太のあーいうところあんま見ないから、ちょっと嬉し楽しくなっちゃって」

うれし……たのしく?

「あぁ。“航太にもついに春到来か!?”ってね」
「……」

「ん?」
「やっぱり、からかってますよね?」

そう言うと「おっ、青だ」と、クスクス笑いながら車を発進させた。