きせき


「ちょ、ちょっと待ってよ! 待ってってば!!」

「バウバウ~!」

「バウ! ねー、ホントに!! 危ないから!! お願い止まって~!!」

「バゥ~ン!!」

「いやぁーーっ!! 無理ー!!」


毎日の日課である、愛犬“バウ”の散歩。
それは最早、バウの散歩なのか私の散歩なのか分からない。


――遡ること数年前。

親戚の家で仔犬が産まれたからと我が家にやってきた、小さな愛くるしい仔犬。

名前は「バウ」。

ふわふわで温かくて小さくて、腕の中にすっぽり収まり寝息を立てて眠っていた彼は、気付けば巨大化し、立ち上がると私と同じ背丈になるまで成長していた。


「ちょっと、ホントにっ!! そっちはダメだってば!!」

甘やかしまくる両親に育てられたバウはいつもやりたい放題で、大好きなお散歩の時間ともなると、もう私の言う事なんて絶対に聞かない!!