きせき


「……っ!!」
「だぁーーー!! くっそ!!」

ビックリして、突き飛ばすように宮崎航太から離れた私と、頭を掻きむしりながらクラクションを鳴らした車に近寄る宮崎航太。

――何ごと!?

キスされそうになったことと、急に大きな音を鳴らされたことで、二重に心臓がバクバクする。

それを何とか鎮めようと、胸の辺りを掴んで、大きく息を吐き出した。

何なの、ホントに。

そう思ってクラクションの音がした方に視線を向けると、宮崎航太が何やら運転手に食って掛かっていて。

「ちょっ、ちょっと!! 何してんの!!」

あまりの剣幕に驚いて、そこに近寄ると……。

思いっきりブチ切れている彼の声の他に、もうひとり、のらりくらりとそれをかわす男の人の声がした。

「てめーマジでふざけんなよ!! 何考えてんだよ!!」
「こ〜たぁ〜……。“何考えてんだよ”は、こっちのセリフだろー。こんなとこで盛ってんなよ」
「盛ってねぇだろーがっ!! つーか、“盛ってる”とか言うんじゃねーよ!!」

「あーもー、おまえ声でかい。うるさい」
「あ〜!?」

……な、なに?

言い合いらしきものを続ける2人に、呆気に取られる私。

とりあえず、さっきのクラクションを鳴らした人は、宮崎航太の知り合い……なんだよね?

――そんなことを思っていると、車のドアが開き、すぐにそれが閉まる音がした。