“彼氏のため”。
わからない。
でも、あの時の私は、とにかく正樹の邪魔になりたくなくて。
正樹が遠くに行ってしまったら、淋しくて、淋しくて、私は絶対に正樹に心配をかけてしまうと思った。
“帰って来てよ!!”
いつかそんな風に縋り付いて彼を困らせて、夢を叶えようとしている彼の邪魔をしてしまうと思った。
――だから、自分から終わらせた。
正樹に嫌われれば、正樹の負担にならないと、そんな子供じみた考えで。
でもそれは、自分のためだったのかもしれない。
正樹を困らせたくないと言いながら、いつか正樹に愛想を尽かされるのが怖かったのかもしれない。
結局は、自分を守るために正樹を傷付けた。
そんな風に、ずっと自分を責めていた。
なのに。
それなのに、あなたは……。
「すげーなぁって思った」
「……え?」
「俺、それがわかってから、いつの間にか、美青サンのことが好きになってた」
そう言って、優しく笑ってくれたんだ。

