「美青?」
泣き続ける私の顔を覗き込みながら、そっと話しかける。
「ん……」
「そろそろ、返事聞かせて?」
「……」
「緊張しすぎて限界」
そう言って、ちょっと笑った航太。
「こう……た?」
「ん?」
「私、」
「……」
「スペイン語、喋れないよ……?」
「うん」
「ポルトガル語と……似てるんでしょ?」
「……そうだな」
「そしたら、覚えるの時間かかるよ?」
「おー、体質的に合わないんだもんな」
航太が楽しそうに、いつもと同じように“くくくっ”と笑うから。
「それでも、ついて行っていいの?」
やっぱり私は、あなたの傍にいたいと――……
強く強く、思ってしまう。
「ついて来てよ」
「ずっと……一緒にいていいの?」
「いてくれないと――……」
「え?」
「俺が困る」
「……」
「な? やっぱり俺の我儘だろ?」
いたずらっ子のような笑みを浮かべながら私の顔を覗き込んだ航太が、もう一度その言葉を囁く。
「結婚しよう」
「うん……っ」
その言葉と同時に腕の中に引き寄せられた私の耳に届くのは……
いつもよりも速い、航太の鼓動。

