きせき


“謝らないで”そう言いたいのに口が言うことを聞かなくて、私はただ必死に頭を横に振った。

ゆっくりと呼吸を整え涙を止めた私は、航太の目をしっかり見据えた。

「大丈夫」

「え……?」

私のその言葉に驚いて、目を見開いた航太。

「離れても……」

「……」

「今度は、会おうと思えば会えるから」

「……」

「だから、大丈夫」

涙目だからきっと説得力は全然ないけれど、これが私の心からの気持ちだから。

精一杯の笑顔で、そう口にした。

それなのに、少し俯いたままの航太の口をついて出たのは、

「違う……」

そんな否定の言葉で。

「え……?」

「美青」

ドクン。

顔を上げた航太と、視線がぶつかる。

「全部、俺の我儘」

「え? わが……まま?」

彼の言葉の意味がわからなくて、ドクドクと嫌な音を立てる胸の辺りをギュッと掴み、ただ、航太のその揺れる瞳を見つめることしかできずにいた。