きせき



「お待たせ!」

「おー……。早かったな」

「うん。ちょうど急行あった!」

「そっか」

駅の改札口を抜けた先の少し離れた歩道で、私を見て笑った航太は、やっぱり少し疲れているようだった。

「じゃー、行きますか」

そのままゆっくりとマンションに向かって歩き出す。

「今日は帽子かぶってないんだね」

「あー……、暗いから平気かなぁと思って」

「そっか」

私が向ける視線の先には、少し前を歩く航太の広い背中。

「……」

――暗いし、平気だよね?

ゆっくりとその背中に近寄り、彼の指に自分の指をからませた。

驚いたような顔をして振り向いた航太は、すぐにフッと笑って。

また歩き出すと、ゆっくりと空を見上げる。

「星、出てるなぁー……」

ポツリとそんなことを呟く航太の横顔は、少し大人びたけれど、やっぱりあの頃と変わらない。

その優しい声と手の温もりが、私の不安をほんの少し取り除いてくれる気がした。