きせき


『おー……久しぶり。元気?』

ちょっと緊張していた私の耳に最初に届いたのは、航太のそんな気の抜ける一言。

“元気?”って……。

それ、私が聞きたいことだよ。

「久しぶり。元気だよー。……航太は?」

『んー、今から元気になる……予定』

「なにそれ」

よくわからない一言に、思わず笑ってしまった。

そんな私の様子に少しだけ声を和らげた航太が、もう一度口を開く。

『今から、会いたいんだけど』

「え……?」

『――話したいこと……ある』

ドクン。

その航太の一言に、私の心臓が大きな音を立てた。

『……会える?』

「うん、大丈夫」

――大丈夫。

『今から家、行っていい?』

「あー、実は今まだ帰る途中の駅でさ。このまま私が航太のとこ行くよ」

そのままホームにあった時刻表を見上げると、まだそれなりの本数の電車はありそう。

「多分15分くらいで行けると思う」

『じゃー駅で待ってるよ。もう暗いし』

そう言った航太に、

「ありがとう」

私は小さく呟いて、電話を切った。

「はぁー……」

握りしめたスマホをそのまま手に持ったまま、緊張を和らげるように大きく息を吐き出したあと、

「よしっ!」

気合いを入れ直した私は、航太の待つ駅に向かう電車に乗り込んだ。