きせき


「もしホントだったら、一緒に行けばいいじゃん!!」

「え?」

「イタリアでもスペインでも、ドイツでも……どこでも!」

「……」

――航太と一緒に?

一緒に行けたら、離れなくて済む。

だけど……。

「言葉も話せない、仕事もない」

「……」

「そんな私が、航太に“連れて行って”なんて言えない」

「美青……」

「航太の傍にはいたいけど、航太の負担になるのは目に見えてるし」

そう言って笑った私を見て、少し顔を歪めたあけちゃんがもう一度口を開いた。

「航太君は……っ!!」

「え?」

「美青が負担になるなんて絶対に思わないっ!!」

「……」

「そんなの、美青が一番わかってるでしょ!?」

私の目を真っ直ぐ見るあけちゃんの目は、ちょっと潤んでいて。

「うん」

その気持ちが嬉しくて、ちょっと笑ってしまった。

「でもね、あけちゃん。今回は離れることになったとしても、前とは違うから」

「……」

「だから、大丈夫」

強く言い切った私を、なにか言いたげな顔で見ていたあけちゃんは、

「頑固な美青に、これ以上言っても無駄か……」

そう言うと、どこかあきらめたように“仕方がない”という表情で笑ったんだ。

――そうだよ。

たとえ離れることになったとしても、今の私達なら大丈夫。

そうだよね、

航太――……。