きせき


「――最悪」

「くくくっ!」

恨めしそうな視線を俺に向ける美青だけど、相変わらず迫力はない。

「急に来るの、珍しいな」

「来ちゃダメですか? 見られちゃまずいものでも、あるんですか?」

不機嫌な美青は、ツンケンとそんなことを言い放つ。

「いやー? いつでも勝手にどうぞ。まぁ、見られちゃまずいもんはあるかもしんねぇけど」

「……」

「男の子なんで」

そう言って笑った俺に、

「そんな男の子事情まで聞いてないっ!!」

フンッと顔を背ける美青がおかしくて、腹を抱えてまた笑った。

「せっかくゴハン一緒に食べようと思って作ったのに」

「おー、やった!」

そう言われれば、部屋の中には美味しそうないい匂いが。

「でも、あげない」

「は?」

「ひとりで食べる。食べつくす」

「……太るぞ?」

「うるさいっ!」

「くくくっ!」

「笑い事じゃないっ!! 超太ってやる!!」

「……」

「なによっ!?」

「いや、」

「……」

「超太っても、俺は美青が好きだよ?」

「……っ」

美青の目を見つめたまま優しい声でそう囁き、赤くなった美青の頬にそっと手を添えた俺は、

「いっひゃーーい!!」

その頬を、両側に思い切り引っ張った。