きせき


まどろむ俺の胸元に、柔らかい何かがフワフワと触れて、くすぐったさにゆっくりと目を開いた。

あぁ、美青だ。

俺の胸に顔を埋める美青の柔らかいその綺麗な髪が、俺の胸元をフワフワとくすぐる。

「……おはよ」

目を閉じている美青に小さくそう声をかけると、ちょっと驚いたように、

「お……はよ」

そう返事をした。

寝起きでまだ少し霞む目をこすった俺の視界に映るのは、窓に打ちつける激しい雨。

その瞬間、

“雨はちょっと苦手”

そう言った美青の声が蘇って、胸がズキンと痛んだんだ……。

どうしたらその傷を癒せるのか、俺にはまだ分からないから。

その小さな体に腕を回して、強く抱きしめる。

雨の音が聞こえなくなるくらい、強く。

だけど、

「眠れなかった?」

そう聞いた俺に、返ってきたのは……

「ものすっっっごく爆睡した!!」

そんな、気の抜けるような彼女の返事で。

力が抜けて、思わず笑ってしまった。