「だから、ごめん。もう美青が泣いてても、こうやって美青の涙拭ってやれない」
いやだよ。
「でも俺、必ず戻ってくる。戻ってこられなくても、成功して美青を迎えに来る」
「……」
「だから、」
「なに……言ってんの?」
正樹の言葉を遮って、やっと私の口から出た言葉は、そんな言葉だった。
「――え?」
「私、側にいてくれない彼氏なんていらない」
「美青……?」
「成功して迎えに来るって、私は何歳まで待たないといけないの?」
「……」
「行くなら、勝手に行って。私は……私はそんなのに、付き合いきれない」
「美青、」
何か言いかけた正樹の言葉をまた遮り、私の口をついて出たのは、やっぱり彼を傷付ける言葉。
「もう帰って。正樹の顔なんか見たくない」
「……」
正樹は何も言わずに、様子を窺うようにジッと私を見下ろしていた。
「帰ってよ」
追い打ちをかけるように、私の口をついて出た言葉に、
「ごめん。今まで、ありがとう」
「……」
「こんなこと、言えた義理じゃないけど、美青が本当に大好きだから。俺は変わらないから」
そう言って少し笑うと、正樹は私に背を向けて、夕闇に消えて行った。

