きせき


「航太?」

驚いて、ちょっと戸惑ったような声を出した私に、優しい航太の声が聞こえて。

「寝れなかった?」

「え?」

「雨……」

顔を上げると、私が開けたカーテンの隙間に視線を向けていた。

「大丈夫」

「……」

「ものすっっっごく爆睡した!!」

どこまでも優しい、あなたのその言葉に笑って見せた私を、一瞬目を丸くして見た航太は、

「どんだけだよ」

いつもみたいに“くくくっ”と笑って、そう呟いた。

「今日どうしようね?」

ベッドに寝転がったまま、窓を見上げてそう訊ねた私を、航太は後ろからふわりと抱きしめる。

「一日中、こうしてるのもいいんじゃねぇ? 雨だし」

ねぇ、航太。

あなたがそう言って、また笑うから――……

「なんか私、」

「ん?」

「雨、好きになっちゃいそう」

だから私は、そんな風にさえ思ってしまうんだ。