次の日の朝、私は温かい腕の中で目を覚ました。
「……」
ボーっとする頭のまま視線を上に向けると、そこにはやっぱり子供のような寝顔で、すやすや眠る航太の姿があった。
「ふふっ」
頬を緩めながらそっと腕を伸ばして、その頬を抓《つね》ってみたけれど、航太は一瞬眉間にしわを寄せただけで、起きる気配は全くない。
「本当に昨日の航太と同じ人?」
私まで眉間にしわを寄せながら、思わずそんなことを呟いてしまう。
――あれ?
あることに気が付いて航太の腕の中をそっと抜け出した私は、身体に毛布を巻き付け、ゆっくりとベッドの横にある窓に近寄った。
私の耳に届いたのは、雨の音。
ほんの少し開けたカーテンの隙間から外を覗くと、ザーザーという音を立てながら、やっぱり雨が降っていた。
その灰色の世界をしばらく眺めた私は、ゆっくりとベッドにいる航太を振り返った。
未だに、幸せそうにすやすやと眠るその姿が羨ましくなって、私は再びベッドに戻り、彼の腕の中にもぐり込んだんだ。
腕の中で航太の胸にそっと頬を寄せると、トクトクと、規則正しく鼓動を刻む心音が耳に届いて、私の心を温かくする。
その温もりが嬉しくて、頬を緩めながらもう一度瞳を閉じた私の頭上から、
「おはよ……」
航太の少し鼻にかかった寝起きの声が聞こえた。
「お……はよ。ごめん、起こした?」
「いや、」
そう言ってまだ少し眠たそうに目をこすった航太が、私をぎゅーっと抱きしめる。

