きせき


床にペタンと座り込んだまま、テレビに釘付けになる私の目の前で、話はどんどん進んでいって――……

『皆さんが気になっていると思います! 宮崎選手の彼女って、どんな方なんですか?』

そんな質問が、航太に投げかけられた。

フーッと息を吐き出した航太は、少し間を取って、

『普通に、一般の方です』

特にその表情を変えることもなく、そう答える。

『一般の方!! もうお付き合いされて長いんですか?』

『ずっと昔から、俺の傍にいてくれた子です』

「……っ」

航太。

『一回、離れてしまったこともあったんですけど、』

そう言った航太に、司会者が笑いながら『そこまでぶっちゃけちゃって、いいんですか!?』なんて、茶々を入れていて。

それも航太は、少しだけ笑って言ったんだ。

『ちゃんとこうして、俺の言葉で皆さんにお話ししないと……誤解を生んだりするんで』

『それにしても、宮崎選手のような方とお付き合いしてるなんて、その方は幸せ者ですねー!!』

盛り上がるスタジオのメインテーブルで、楽しそうに笑う司会者に、航太がゆっくりと口を開く。

『幸せなのは、俺の方です』

『え?』

『彼女は俺がサッカーをやってたせいで、何度も嫌な目に遭いました』

『……』

『それでも彼女は、俺のサッカーが好きだって、笑いながら言うんですよ』

そう言って笑う航太の表情は、すごく柔らかい。

『その言葉があったから、俺はここまで頑張れたんです』

『……』

いつの間にか静まり返っていたスタジオに、航太の静かな声だけが響いていた……。

『俺のサッカーは、彼女がいてくれてこそなんですよ』

航太……。

『それを、どうしても俺の口からちゃんと皆さんに伝えたくて』

そう言い切ると、航太は下を向いて黙り込んでしまった。