きせき


「はぁ……っ」

終了のホイッスルが耳に届いた瞬間、一気に身体の力が抜け落ちるのを感じて、静かに天を仰いだ。

心を鎮めるために、何度か呼吸をくり返す。

――それでも湧き上がるのは、やっぱり“悔しい”という感情。

「航太、行こう」

キャプテンにそう声をかけられ、しばらく上を向いたままでいた俺は正面を向き、未だに健闘を讃えるように、大きな歓声を上げるサポーターのもとへ向かったんだ。

「航太!」

サポーターに感謝の拍手を送り、もう一度一礼をして。

ピッチを後にしようとしていた俺に、兄貴が声をかけた。

「インタビューだとよ。行って来い!」

「……おー」

俺の返事を聞いて、背中を向けて歩き出した兄貴。

その背中に、声をかけた。

「兄貴!!」

「ん? どした?」

ゆっくりと振り返った兄貴は、ちょっと首を傾げながら俺の言葉の続きを待っていて。

「……」

「航太?」

「迷惑かけたら、ごめん」

「……」

その目を見据える俺の言葉の意味を、すべて理解した様子の兄貴は、

「好きにしろ。俺は止めねーよ」

そう言って、なぜか楽しそうに笑いながら、手をヒラヒラ振って他のスタッフのもとに歩いて行った。