···
···
「美青、聞いてる?」
「……聞いてますよ」
「じゃー何か言えよ」
くすくすと笑う航太の声が受話器越しに聞こえて、なんだか耳がくすぐったい。
「聞こえてるけど」
「おー」
「ねぇー?」
「んー?」
「航太クン、なにか他のお願いごとはないのカナ?」
ちょっと可愛子ぶって“航太クン”なんて言ってみたのに、
「いや、特にない」
バッサリと切り捨てられる。
試合の後、今日もホテルの内線電話で話す私達。
「もう、ホンッッットすごかったね!! 感動したっっ!!」
大興奮で話す、私の試合の感想を聞き終えた航太は、
「考えたんだけどさ、」
ポツリと、そんな言葉を落とした。
急に深刻そうな声を出すから、思わず心配になって。
「え……?」
私は小さな声で、そう聞き返したのに……っ!!
「一緒に風呂入ろ」
「は!?」
突然そんなワケのわからないことを言い出した航太に、素っ頓狂な声を上げた。
「いや、“キスでも何でも”の“何でも”の方」
「はぁっ!? 無理だしっ!!」
そんな私の反応に“くくくっ”と笑った航太。
「いいじゃん。入ろ」
試合の後の少しだけ掠れた声で、優しくそんなふうに言うから、
「……」
私は、何も言えなくなってしまうんだ。
「美青ー?」
「……」
「返事はー?」
「水着」
「は?」
「水着、着ていいなら……」
半分本気で言ったのに、
「却下」
……ですよね。
だけど航太はそのあと、
「電気を消すのは、特別OK」
楽しそうに、そう言って笑った。

