きせき



――“好きだ”?

な……に?

あまりにも急な宮崎航太のその一言に、私は瞬きも忘れ、ただ驚くことしか出来ない。

「ごめん。好きだから……」

何も言えない私に、彼は少し苦しそうな表情を浮かべる。

「好きだから、また逢いたかった」
「え?」
「だからあの時、バウの散歩の時、何でもいいからまた逢うための口実作りたくて」

そこまで話すと、大きな溜め息を吐いて頭を抱え、下を向いたまま「ガキくさいことして、ごめん」と呟いた。

「……」
「……」

何を言えばいいのかわからなくて、気まずい沈黙が続く。

「美青サン」
「……え?」

「何か、言って」

そう言われても……。

「俺、いっぱいいっぱいデス」
「……」
「美青サン?」

何を言えばいいんだろう?

「えっと」
「ん」

「その、“好き”って」
「……ん」
「何で、私? あの日、散歩の日に初めて逢ったんだよね?」

いくら頑張って記憶をひっくり返してみても、あの日より前に彼に逢った記憶なんて見つからない。

もしも私が忘れてしまっているだけだとしたら、申し訳ないと少し胸を痛める私に、彼は言ったんだ。

「……一目惚れした」

ひっ、一目惚れ!?
う……そ、でしょ!?

私、自慢じゃないけど、一目惚れされるような容姿じゃないし!!

思いもよらない宮崎航太の発言に、思いっきり動揺する私。