PK戦で、後攻を選んだ俺達。
3本目まで両チームとも順当にゴールを決めていき、4本目。
「森田、頼むぞ」
背中を叩かれたキーパーの森田さんが、力強く頷き、大きく深呼吸を一つして。
相手を威嚇するように両腕を広げ、キッカーと対峙した。
まるでその一帯の空気が凍りついたかのように、キンと張り詰める。
俺はドクドクと五月蠅いほどに鼓動を刻み続ける心臓の辺りを、グッと掴んだ。
相手のキッカーが少しの距離を取り、ゆっくり助走をつけると、その足に力を込めてボールを蹴り出す。
次の瞬間――……
『……っ』
地面が震える程に大きく湧き上がった、スタンドの観客の歓声と悲鳴。
「やった……っ!!」
隣から聞こえた稜の声と、目の前には、キッカーの放ったボールをしっかりと掴み、ガッツポーズをする森田さんの姿が映る。
「稜、頼むぞっ!!」
仲間の大きな声に頷いて、ゆっくりと一歩前に踏み出した稜だったけど……。
「航太!!」
なぜか急に後ろを振り返って、俺に声をかけた。
そして、何事かと眉を寄せた俺に、
「後は頼んだぞ」
静かにそう言うと、再び前を向いたんだ。
――稜。
ゆっくりと距離を取り、少し間をおいたあと……
稜が蹴り出したボールは、見惚れるほどの弾道で、ゴールネットを大きく揺らしたんだ。
これで、得点は4-3。
俺は静かに目をつぶり、呼吸を整えてその時を待った。

