きせき


その笛は、PKでの決戦を意味するもの。

一瞬、ピッチの仲間の頭をよぎったのは、きっと4年前のPK戦。

最後までお互いを信じて、ピッチにひざまずき、肩を組んで……勝利を願う仲間の姿。

ドクン。

勝つこと以外は――……

何も考えるな。

そう思う気持ちとは裏腹に、心臓はドクドクと嫌な音を立て始める。

空を見上げると、さっきまで出ていたおぼろ月は真っ黒な分厚い雲に覆われ、その姿を消していた。

「5本目、航太いけるか?」

円陣を組んだキャプテンが、俺にそう問いかけると、心臓がひと際大きく音を立てた。

一瞬目をつぶり、俺はゆっくりと息を吐き出す。

「はい」

キャプテンを見据えてそう返事をした俺に、

「必ずお前まで回す」

彼は力強く、そう言い切った。