きせき


「久々に試合中に焦った」

そう言った俺の耳に届くのは、くすくすと笑いながら労いの言葉を口にする美青の声。

「笑い事じゃねぇし……」

「でも、勝つと思ってたよ」

しかも、なぜか自信満々にそう言い放つ。

「何を根拠に?」

「ん~、何となく!」

あっけらかんとそんなことを言う美青に、つられて笑ってしまった。

「そうですか」

「うん!!」

あれから――……

延長戦で何とかゴールを決め、決勝点を挙げた俺は、戻ったホテルの部屋でベッドに寝転がりながら、美青に電話をかけていた。

「改めて、ベスト8おめでとー!!」

「おー、どうもー」

「なにそれ! もっと喜ぼうよー!! ほらっ!!」

「いや、喜んでるけど……」

“ほらっ”て言われてもなぁ。

「ん? どうしたの?」

「いや、まだ先あるしな」

最低でもベスト4を狙う俺達は、少なくともあと1勝を挙げないといけない。

願わくば、それ以上。

「まぁ、ここまできたらあとは頑張るしかねぇだろ」

「……」

俺の言葉を聞いて、なぜかちょっと静かになった美青。

「う~ん……」

「美青?」

「わかった!」

「あ?」

――何ごとだ?

急に唸り出したかと思ったら、今度は元気よくそんなことを言うから、俺はちょっと困惑する。