きせき


「くっそ……!」

重たくなり始めた足と、苦しくなる呼吸。

後半が開始してから既に35分以上が経過していた。

お互い何本ものシュートを放つものの、全く決まらないこの状況。

放ったシュートが大きくゴールを外れたが、そのボールの行方を追うこともせずに息を吐き出した。

いつもより薄く感じる酸素をたくさん取り込もうと、無意識に短い呼吸が多くなる。

苦しくなって、天を仰いだ俺の目に映るのは、大きな月。

今は、スタジアムの強いライトのせいで見えないけど、きっと、星もきれいに見えるんだろうな……。

そう思った瞬間、ふわっと蘇った美青の優しい香り。

こんなとこで、負けらんねぇよな……。

「はぁ……っ」

強く息を吐き出した俺は、もう一度正面を見据え、足にグッと力を込めて走り出した。