きせき


「私だってこれでも勉強したんだよ!? だけど……っ」

「“だけど”?」

「ポルトガル語は……体質的に、私には合わないらしい」

残念な気持ちを前面に押し出した私を、航太はお腹を抱えて笑い倒した。

「そんなに笑わなくてもいいでしょ!?」

「だって、“体質的に”って何だよっ!!」

そう言いながら、さらに笑う。

「……」

「あー、マジで腹痛てぇー……」

しばらく笑い続けて、目に溜まった涙を拭う航太を見ていたら、ふとした疑問が湧き上がった。

「ねぇ、」

「んー?」

「何で、あんなにベラベラとポルトガル語喋ってたの?」

「あー……」

次に航太の口から発せられた言葉に、私は心底驚いた。

「昔、こっちに留学してたから」

「――は?」

「ん?」

「……なんで?」

「“何で”って、サッカー」

「……」

「え? 何か変な事言った?」

驚きすぎて絶句する私を横目に、航太は呑気に首を傾げる。

「全然知らなかった」

「あー、言ってなかったかも」

「いつの話……?」

「中学の時」

――中学生で異国に留学。

「ほぇー……」

「何だよ“ほぇー”って」

「変な声出すなよ」

そう言って、また笑った航太だけど、

「できるだけ早いうちから、色んなサッカーを知りたくてさ。親とかにもすげー反対されたけど」

昔を思い出したのか、懐かしむように目を細めた。