きせき


――ど、どうしよう。

私はとにかくハラハラしながら、理解できない会話を交わす二人を見守ることしかできずにいた。

だけどしばらくして、男の人が何かに気付いたように航太の顔を覗き込んで……。

突然上機嫌になったその人の口から、やっと私が聞き取れる単語が飛び出した。

私が聞き取れたのは、「Kota!!」と「Japão!!」の2つの単語。

――“航太”と“日本”。

仕事のために一生懸命勉強してみたポルトガル語だけど、現地スタッフは英語も喋ることができたし。

私の能力なんて、所詮はこんなものですよ……。

急に楽しそうに話し始めたその人は、そんなことを考えてションボリしている私に向き直り、

「Desculpa!(ごめんね!)」

そう言うと、今度は航太の肩をポーンと叩き、

「Força! Você consegue!!(頑張れよ! お前ならできるぜ!!)」

と、爽やかに笑いながら去って行ったんだ……。