“目標は、前回果たせなかったベスト4入りです”
“そのために、FWとしての仕事をきちんとこなしたいと思います”
出発前の記者会見で、正面をしっかりと見据えながら、そう宣言した航太。
その言葉通り、リーグ戦3試合で2得点を挙げた航太は、ますます話題の中心になっていて、日本でもその報道のされ方が半端じゃないと、あけちゃんや美月から連絡が入った。
「ホント凄いなぁ……」
驚くほど順調に、決勝トーナメント進出を決めた日本代表。
今はトーナメントまでの中日。
みんなはグラウンドで練習をしていて、仕事をほとんど終えた私も、今日は珍しくピッチサイドでその練習を眺めていた。
「よかったな」
間近で見るその練習風景に見入る私の横に、大きなカメラを首からさげた正樹が並んだ。
「え?」
――何のこと?
正樹の言葉の意味がよくわからないまま、その視線を追った私の目に、シュート練習を何度もくり返す航太の姿が映る。
「にしても……。ホント、すごいヤツだな」
その後のことは何も話していないけれど、何かを知っているらしい正樹に一瞬驚いた。
「あー……うん。そうだね」
でも、正樹は昔からそういう人だったから。
私は、それ以上何も言わず、そう返事をする。
「何だよ、その微妙な返しは」
「だって、やっぱり不思議な感じでさ」
「“不思議”?」
「うん。当たり前なのかもしれないけど、サッカーをやってる時って、普段と全然違うから」
「……」
「ギャップがあるよね」
そう言って笑った私を、優しい瞳でじっと見つめた正樹は、
「な、なに?」
「いや、それってさ」
「ん?」
「最高の愛情表現だと思わない?」
目を瞬かせる私を見て、楽しそうに笑いながら、そんな言葉を付け足したんだ。

