「スゴイ量の荷物預けてましたね。どっかに高飛びでもするのかと思いましたよ」
出国前、書類を見ながら最終チェックをしている私の頭上からポツリと落とされたのは、
「宮崎……君」
呆れたように笑った航太の声で。
私の横に、椅子を一つ分空けて腰を下ろした。
「全部必要な物ですから」
「へぇー、そうなんですか」
そう言った後、
「またいらない物がいっぱい詰まってるのかと思った。……ムダに場所を取るモコモコパジャマとか」
私にしか聞こえないくらい小さな声で悪態をついて、“くくくっ”笑う。
「そんなもの入ってませんっ!」
「あっそうですかー」
「……本当は、入ってるけど」
「くくくっ!」
そんな風に楽しそうに笑われたら、私だってつられて笑ってしまう。
「航太ぁーーー! あっ、美青ちゃんもいる!!」
まだ笑いが収まらない私の瞳に、遠くから手を振りながらやって来る川崎君の姿が映った。
「またうるせぇ奴が来たよ……」
それに航太はため息を吐きながら、ゆっくりと立ち上がって、
「日本に帰ったら、バウに会わせて下さいね」
そんなよくわからない言葉を残すと、川崎君の元に歩いて行ったんだ。
「……」
――なんで突然、バウ?
よくわからず首を傾げた私の耳に、出国のアナウンスが聞こえた。

