きせき


「だってさぁ、このくらいの年齢の子って、こういう女子アナとか大好きそうじゃん?」

「はぁ……」

「なのに、この無愛想さっ!! むしろ好印象!!」

ケタケタと笑いながら、そう言い切った小泉さん。

「可愛い顔してるのにね」

「そう……ですねぇ」

実際はもっと可愛いんですけどね。

お肌も憎らしいほどスベスベですけどね。

つい、心の中でそんなツッコミを入れてしまう。

「遠征中とか、この子と喋ることあるの?」

「まぁ、一言二言くらいは」

「そうなんだー。やっぱ、無愛想?」

「いや~、普通だと思いますけどねぇ」

「ふぅ~ん。彼女とかいるのかな?」

「……」

思わず黙り込んでしまう、素直な私を覗き込んだ小泉さんは、顔の前で手をヒラヒラと振る。

「おーい、佐々木?」

「あー、はい?」

「彼女とかいるのかなって」

「いやー、どうでしょうねぇ。というか、何で急にそんなことを?」

「んー? だって、こんな無愛想な人が、彼女の前ではどんな感じなのかなぁとか、ちょっと気になるじゃん?」

そう言って、美しすぎる口元を緩め、楽しそうに笑う。

「……」

「ん? どうした?」

「いえ……」

ちょっと考え込んだ私の頭の中に、いつもの意地悪だけど、優しい航太が浮かんで。

「きっと、彼女にはもの凄く優しいんじゃないですかね?」

気が付いた時には、そう口にしていた。

「え?」

「あー……えっと、何となくですけどそんな気がします」

「ふぅ~ん、そっかぁ」

私の動揺に気付かない小泉さんは、また画面に視線を戻して、

「そりゃ、彼女も幸せだろうね」

また楽しそうに笑ってそう言い残し、休憩室を後にした。

そんな小泉さんの背中に向かって、私は緩んだ頬のまま、

「ホント、幸せなんですよ」

小さくそんな言葉を呟いたんだ。