きせき


「えぇっと、試合は6月13日からで、2週間前に現地入りして……」

会社のデスクで、毎日目の前のパソコンと資料と睨めっこを続ける私と、練習と色んなメディアに引っ張りだこの航太。

あれから、航太にはやっぱり会えていないし、連絡も取っていない。

淋しい気持ちも、そりゃー、ちょっとはあるけどね……。

ワールドカップを4週間後に控えた私達は、お互いとにかく忙しく過ごしていた。

毎日のように組まれるテレビのワールドカップ特集のおかげで、メディア越しの彼の姿を見ない日は本当になくて。

私は改めて、航太の凄さを実感していた。

でもやっぱり、テレビに出ている航太は、いつもの航太とは違う。

今だって、目の前で可愛い女子アナにインタビューをされている航太は、

「ホント無愛想ねー」

そうそう。

ありえないくらい無愛想でねぇ……。

「……」

ん?

「――ぅわっ!!」

休憩室でテレビを見ていた私の背後から突然聞こえたその声に、思わず大声を上げてしまった。

「何そんなに驚いてんのよっ!!」

「す、すみません」

知らぬ間に後ろに立っていたのは、直属の上司の小泉さん。

物凄く美人なのに、男勝り。

サバサバを通り越してバサバサした性格で、私はこの人が大好きなのだ。

「まぁいいけどさぁー」

そんなことを言いながら、私の横に腰かけた小泉さんは、またテレビ画面に視線を戻す。

「この子、何だっけ?……宮本?」

「宮崎です……」

「あぁ、それそれ。この子、ホント無愛想だよねー」

「そう、ですかね?」