きせき


普段から、ウンザリするくらい元気で、人前で泣くのが大嫌いな美月。

その美月が目の前で号泣しているんだから。

「ちょっ、ちょっと!? どうした、美月っ!! どしたのっ!?」

私の動揺だって、尋常じゃない。

ワタワタと慌てながら声をかける私に、

「おねぇー……」

「えっ!?」

「よかったねぇー……っ」

美月は思いがけない言葉を口にして、泣きながら、笑ったんだ――……。

「航太クンのとこ、戻れたんでしょ?」

「……」

何でそれを……?

そんな風に言われて、驚いて。

無言になった私に、美月は涙目のまま、ちょっと呆れたように言ったんだ。

「航太クン、意外と待たせてくれたなぁ」

それから何度も、航太のその言葉の意味を美月に問いただそうとしたのに、

「航太クンと私だけの秘密ですぅー」

そんな風にはぐらかされて、結局美月は何も教えてくれなかった。

でも、夜ご飯をご馳走になって、自分のマンションに帰ろうとした私に、美月は嬉しそうに笑って「よかったね」と、もう一度言ってくれた。