きせき


「送れなくてごめんな」

帰る準備をして、玄関で靴を履く私に、航太が申し訳なさそうに声をかけた。

「大丈夫だよ! まだお昼だし、見つかったら大変でしょ?」

「悪いな……」

ちょっと俯いて頭を掻きながら謝る航太に、私は満面の笑みを浮かべる。

「そもそも航太が謝ることじゃないし、もし週刊誌とかに載るなら、私だってもっと気合いの入った格好の時がいいの!」

「……」

「ん?」

「いや、美青は変わんないな」

そう言って、優しく笑うから、

「そぉ~? これでもだいぶ大人になったんだけど?」

航太が何も気にしなくていいように、ちょっとおどけて見せた。

「そうか? まだだいぶ子供だと思うぞ? 相変わらずちっちぇし」

「……背はもう伸びませんっ!!」

「あれ? そうなの?」

航太とのくだらない言い合いは、やっぱり楽しくて。

でも、いつまでもこうしてはいられない。

「じゃー、そろそろ行こうかな!」

楽しそうに笑う航太に、そう声をかけた。

「航太!」

「んー?」

「頑張ろうね!!」

ワールドカップも、二人のことも。

たった一言に込めた私の気持ちを、きっと全て理解した航太。

「おー、任しとけ」

彼は私の瞳を見つめて、自信ありげに笑ったんだ。