きせき


「航太、今日練習は?」

「あー、午後から軽く。もうちょいしたら出ないとだな……」

「そっか」

遅すぎる朝食を取りながら、そんな会話を交わす私達。

例え、航太が休みだったとしても、今はまだ一緒にいられないんだけどね。

でも、こうしてまた一緒にゆっくりできるのは、きっとまだしばらく先で……。

今度会う時は、きっと仕事の場。

「……」

「……」

航太も同じことを考えていたのか、小さな沈黙が流れる。

「ちょっと待ってて」

それを破って、急に席を立った航太。

「え? 航太?」

どうしたんだろう……?

ハテナ顔のまま、寝室に戻った航太を大人しく待っていた私に、

「ほい」

ポーンと投げられた何か。

「えっ!?」

慌てて手を出してキャッチしたそれは、手の中でカチャリと小さな音を立てた。

ゆっくりと開いた手の中にあったのは――……。

一度返した、航太の部屋の合鍵だった。

「……」

「持ってて」

何も言えないでいる私に、航太が笑って声をかける。

きっと航太も、

“ワールドカップが終わるまで”

その約束が果たされるまで、こんな風に逢えないのは分かっていて……。

「ありがとう」

「ん……」

それでも、大丈夫。

だって私達は、こうして繋がっているんだ。

これから先は、ずっと。