きせき


「美青?」

「な、なに?」

「何、朝っぱらから顔赤らめてんの?」

そう言って“くくくっ”と笑った航太を、ジロリと睨む。

むしろ航太に聞きたい……。

なんでそんなに普通でいられるの!?

「恥ずかしいのっ!! なんかも~……普通のことも全部全部、恥ずかしいのっ!!」

心の中身を勢いに任せて垂れ流しながら頭を抱える私を見て、また大笑いした航太は、気が済むまで笑うと大きく息を吐き出して。

「でも、やっぱいいな。こういうの」

今度は嬉しそうに、目を細めて笑ったんだ。

「……うん、いいね」

同じ言葉をくり返した私を、相変わらず優しい瞳で見つめた航太は、もう一度ベッドの上にパタリと倒れ、大きな溜め息を吐いた。

「どうしたの?」

「……何でもないよ」

そのまま、くすくすと笑うから。

「変なのー」

私まで、つられて笑ってしまう。

「さて、起きるか」

そう言って立ち上がった航太は、また大きく伸びをして、サイドテーブルの時計を眺めた。

「11時だってよ。俺ら、どんだけ寝てんだよ!」

また楽しそうに笑った航太は、そのまま私に向き直ると、

「ちゃんと眠れた?」

ちょっと心配そうに、そう訊ねてきたんだ。

「うん! こんなにゆっくり眠れたの、ホント久しぶり。ありがとう」

そんな言葉を口にしながら笑い返した私に、航太は一瞬驚いたように目を丸くして、

「別に何もしてねぇよ」

と、私の頭のてっぺんの“まん丸”をポムッと一度叩いたあと、そのままリビングに歩いて行った。