きせき


それを彼にどうしても伝えたくて、震える指を伸ばし、そっとその背中に腕を回す。

「このままでいて……」

やっと言葉にできた、ほんの少しの私の気持ち。

「ん……」

胸を伝って私に届く航太の声と、その温もりが、さっきまでの不安を嘘みたいに拭い去って、心に広がるのは驚くほどに温かい気持ち。

トクン、トクン。

心地よく響く、懐かしい航太の鼓動。

“あぁ、航太だ”

眠気で少しずつ鈍くなっていく頭で、よくわからないけれど、そんなことを考えていた。

温かい……。

こんなにも、航太を近くで感じる。

もっと、この心地よい温もりの中でまどろんでいたいのに、すごく眠い。

私、こんなに眠かったんだ……。

でも、どうしても伝えないと。

早く、

航太に、この気持ちを……。

“ありがとう”

どうしても、どうしても伝えたい、たくさんの“ありがとう”。

強い気持ちとは裏腹に、どんどん意識が遠のいて、その言葉を、航太に伝えることができたのかさえわからない。

それでも、眠りに落ちる瞬間――……。

“待っててな”

そんな航太の声が聞こえた気がしたんだ。