きせき


どうしよう……。

邪魔になるかな?

悩んで立ち尽くす私に、ゆっくりと向けられた航太の視線。

「……美青?」

その優しい声に、さっきまでの不安が一気に拭い去られて、胸の中に温かい何かが広がった。

「邪魔じゃなかったら、一緒に観てもいい?」

そう聞いた私に、それまでの真剣な表情を少しだけ緩めた航太は、

「おー。全然平気」

そう答えてくれた。

毛布を肩から掛け、二人で並んで見るそのテレビ画面には、真剣な顔でボールを追うみんなの姿。

航太がいれてくれたホットミルクのカップを両手で包みながら、“解説して!”と、半分冗談で言ったのに、航太は少し笑うと、静かに話を始めた。

さっきまで“エロくて結構”なんて言っていた人とは思えないくらい真剣な表情で、時々黙って、何かを考え込みながら話す航太の姿に、胸がトクトクと心地いい音を立てるんだ。

それと同時に、“あぁ、やっぱりこの人が好きなんだ”という気持ちが溢れ出す。

昔からそうだった。

航太はいつも真っ直ぐ前を向いていて、手を抜くことなんて絶対にしない。

「やっぱり凄い」

心の底からそう思った。

あの頃と同じように……ううん、あの頃よりももっと、たくさんの人をワクワクさせる航太のプレー。

だけどそれを嬉しく思うのと同時に、私がこの仕事を外されそうになった時にお兄さんが言っていた言葉を思い出した。

“また一人の選手を潰すおつもりですか?”

私の嘘のせいでそこまで追いつめられた航太が、ここまでくるのに一体どれほどの力が必要だったのだろう?

航太の苦しそうな姿を思い出して、泣きたくなるほど胸が痛む。

――だけど。

「昔よりも、もっともっと面白い」

これは、本当に思うこと。

そして、どうしても伝えたいと思うこと。