きせき


さっきまで雨と雷の音しか聞こえなかった部屋に、俺のものなのか、美青のものなのか――……

トクン、トクンと、心地よい心音が響く。

「……」

「離した方がいいなら、離すから」

俺の言葉を聞いてコクリと息を呑んだ美青は、小さく頭を横に振り、そっと俺の体に腕を回した。

「このままでいて……」

「ん……」

「温かいね」
「そだな」

「航太、温かい」
「……うん」

「航太……?」
「ん?」

「ありがとう」
「……」

小さくポツリと呟いた美青の呼吸が、段々ゆっくりとしたものに変わっていく。

「美青?」

静かに話しかけた俺の声に、返事はなくて。

そっと腕の中を覗き込むと、美青は安心しきったような顔で、小さな寝息を立てていた。

それに、俺もホッとしながらも、濡れた睫毛に胸が締めつけられて……。

やっぱりどうしても、俺が彼女を守ってやりたいって、そう思ったんだ。

「もうちょっとだけ待っててな」

そう呟いた俺は、美青を抱きしめる腕に少しだけ力を込めて、静かに瞳を閉じた。