きせき


「寝られそう?」

人が一人半は入れそうな距離を開け、ベッドの端と端に寝転がった俺たち。

俺は、静かに美青に話しかけた。

「うん、多分ね~」

「そっか」

「……」
「……」

暗い寝室には、未だ止むことのない雨音が、小さな雷の音と共に響いていて。

そこに混じる美青の呼吸が、わずかに震えている気がする。

――気のせいか?

「美青、寒い?」

「……」

俺の問いかけに少しの沈黙を挟んで、細く息を吐き出した美青が、まるで何かを決意したかのように静かにその口を開いた。

「ホントは――……」
「え?」

「ホントは、雨が苦手」

「……」

「嫌なことがある日は、いつも雨が降ってたの」

「……美青」

「だから、雨はちょっと苦手」

そう言って、無理やり笑う。

「――ごめん」
「……」

「美青が寝るまで……」

“雨が苦手”

その言葉に振り返った俺の目に映ったのは、こっちを向いたまま、悲しみを隠すように笑う美青の顔で……。

気が付いた時には、俺は彼女に手を伸ばし、その小さな体を自分の腕の中に閉じ込めていた。