きせき


それからソファーに座って、美青と昔の話をした。

美青が、アメリカに渡ってからの話。

日本に帰って来てからの話。

俺がプロになるまでの話。

プロになって、ここにくるまでの話。

きっと他人が聞いたら、ただの他愛もない会話で。

だけど俺と美青にとっては、物凄く重たくて、大切な話なんだ。

俺も美青も、そうすることで、離れていた時間を少しでも埋めたかったのか……。

俺たちはたくさんの話をした。

気が付くとかなりの時間が過ぎていて、隣に座る美青は、子供みたいにウトウトと頭を揺らしている。

「そろそろ、寝ようか?」

「ん~、そうだね」

目をこする彼女を立ち上がらせると、寝室の扉の前まで歩いて、それを横にスライドさせた。

「ちゃんと休めよ?」

そう声をかけた俺に、ゆっくりと視線を上げた美青。

「航太」
「ん?」

「……」
「美青?」

「ごめん。何でもない! じゃー、お言葉に甘えてベッド借ります」

笑顔を浮かべてそう言って、俺を見上げる。

「おー、どうぞー」

「じゃー……、おやすみ」

「うん、おやすみ」

ゆっくりと扉を閉め、一人になった俺は、再びソファーに腰を下ろした。

「ふー……」

静かに息を吐き出した俺の耳に、鳴り止まない雨音が聞こえる。

何だか不思議な感覚に襲われて、俺はしばらくボーっと天井を見上げていた。