きせき


美青の作ってくれたフレンチトーストを食べ終わった俺たちは、ソファーに座ってコーヒーを飲んでいた。

「……」

「……」

別に話すことがないワケじゃないんだけど、何となく沈黙が続く。

――きっと美青も、俺と同じことを考えているんだろう。

「美青ー?」

「……んー?」

「明日、仕事は?」

「明日は休みー」

「そっか」

「うん」

それでまた黙り込んで。

こんなことを言ってもいいのかはわからないけどさ……。

やっぱりもう少し、一緒にいたい。

「今日泊まってけば?」

「……え?」

「嫌なら送ってくけど」

「嫌じゃない! 嫌じゃない、けど……」

「“けど”?」

「迷惑じゃない?」

気まずそうにおずおずと俺を見上げる彼女が可愛くて、口元が緩む。

「迷惑なわけないだろ」

「よかった」

その言葉に安心したように、ホッと息を吐き出しながら笑った美青。

でも……な。

うん。

「眠くなったら寝室、使っていいから」

「え?」

「俺、こっちで寝るし」

「一緒に……寝ないの?」

「……」

そう言って俺を見上げる美青に、何も言えなくなる。

うーーーん……。

いや、無理だろ。

それはダメだろ。

数秒間、本能と戦いながら悩み込んだ俺。

「航太、こんなとこで寝たら風邪ひいちゃうし……」

俺が何と葛藤しているのかなんて、気付く様子のない美青の優しさが、今はちょっと辛いわけで。

「狭いし……な」

「平気! 私、端っこで大人しく寝るし!」

「……」

違う。

違うぞ、美青。