きせき


まだ止むことのない雨は、窓に張り付いたままその模様を次から次へと変えていき――……

その奥で、あの観覧車の灯りがキラキラと瞬いた。

「……」

その光に、ゆっくりと指を這わせる。

まさかこんな日が来るなんて、あの時の私には、絶対に想像できなかった。

あの時の私は、全て失う覚悟で。

もう絶対に航太の元には戻れないんだって思っていた。

「――……っ」

無意識に溢れ出てしまった涙が、頬を伝う。

「ふー……」

心を落ち着けようと、小さく息を吐き出した瞬間、

「ごめん」

私の耳に届いたのは、バスルームにいるはずの航太の声だった。

急にかけられたその声に、驚いて後ろを振り返る。

振り返った視線の先には、リビングの入口のドアにもたれかかった、航太の姿があって……。

「ごめんな」

再び、謝罪の言葉を口にする。

どうして航太が謝るの?

その理由がわからず、何も言えないでいる私の背後の窓に視線を移して、

「あの日も……雨降ってたな」

航太は少し淋しそうに、微笑んだ。