きせき


「こ、航太っ!!」

その様子に、私も慌てて立ち上がり、航太の背中に声をかける。

「あ~?」

だけど返されるのは、予想した通りのぶっきらぼうな返事。

砂に足を取られながらも、急いでその大きな背中を追いかけて、シャツの袖をギュッと掴んだ。

ゆっくりと振り返った航太の顔は、ちょっと赤くて。

「あのねっ!!」

「……」

「ホントは……っ」

「……」

「ホントは私も、全然平気じゃない」

「……っ」

「平気じゃ……ないもん」

尻すぼみに言葉を発しながら、航太を見上げた。

すると、小さな沈黙の後、

「はぁー……」

大きなため息を吐いた航太。

そして片手で口を覆い、困ったように天を仰いで――……

「どうしてくれんだよ、俺の一大決心を」

そう呟いたあと。

温かい手で私の腕を掴んで、それをグイッと引き寄せて、その腕の中に私を閉じ込めたんだ。

トクン、トクンと、航太の少し速い鼓動がすぐそばで聞こえる。

「航太ぁ」

「あ~?」

「心臓、速いよ?」

私のその言葉に、フッと笑った航太は、

「美青のせいだし」

そう言って、私をもっと強く抱きしめた。

そして、“う~ん”と唸りながら上を向いて考え込んで、ゆっくり体を離すと、

「今日は特別」

私の唇に、優しいキスをそっと落とした。