きせき


電話を切った私は、急いでシャワーの続きを済ませて、航太が指定した場所に向かった。

そこは、ホテルからほんの少し離れたところにある海岸で。

「……」

到着した私の目に映ったのは、砂浜に胡坐をかいて座り、星空を見上げる航太の後ろ姿。

――心臓が、うるさい。

「おー……」

私の気配に気付いて振り返った航太は、立ち上がってパタパタとお尻の砂を払うと、ゆっくり私に向き直った。

「歩きながらでいい?」

ちょっと首を傾げ、少し笑ってそう言った彼に、私はコクリと頷く。

そんな私を見て、航太が目を細めて嬉しそうに微笑むから。

何だか恥ずかしくて、思わず下を向いてしまったんだ。

その様子を見てクスッと笑った航太は、砂浜をゆっくりと歩き出す。

目の前には、少し先を歩く航太の広い背中。

手を伸ばせば届きそうなその距離に、また心臓が騒ぎ出す。

「美青ー」

まるであの頃のように、私の名前を呼ぶ航太。

「うん」

そのまま立ち止まると、ゆっくり振り返った。

「やっぱさ、」

「うん……」

「美青」

「うん」

「俺の隣にいてよ」

「……っ」

もっとちゃんと航太を見たいのに――……。

「美青ー?」

「ん……っ」

目の前の航太が、涙で滲んでしまう。

「泣くなよ」

そう言って少し笑って、涙で濡れる頬に、両手を添えた航太は――……

そのまま少し屈んで顔を近づけ、真っ直ぐ私の目を見つめて、聞いたんだ。

「――美青、返事は?」