きせき


「ごめん、美青!!」

「……」

「ごめんなさいっ!!」

「……」

目の前でひたすら謝るあけちゃんに、ちょっとふくれっ面を向ける私。

「ねぇ、なんでそんな勝手なことしたのっ!?」

「……」

「あけちゃん!!」

「ホントごめん。でも、あのままだったら美青、あの仕事辞退してたでしょう?」

「それはそうかもだけど……。それとこれとは話が別!!」

その日、ありえないほどの低いテンションで、突然私の住むマンションにやって来たあけちゃんは、部屋に入って早々、私に頭を下げた。

そして、ワケがわからずワタワタする私に、信じられない事実を告げた。

“ごめん。航太君の所に勝手に行って……全部話しちゃった”

そう説明されても、やっぱり意味がわからなくて。

よくよく聞くと、協会が関わる航太と別れるきっかけになったことと、今回の仕事のことを、全部洗いざらい吐き出してきたと、そう言ったんだ。

「なんで話したのっ!?」

「だって……っ!!」

唇を尖らせて、いじけた子供のように下を向いたあけちゃんは、小さな声で呟いた。

「もうあんな美青も、航太君も、見たくない」

「……」

「それに、私ずっと後悔してた。何であの時、美青の反対を押し切ってでも航太君に話さなかったのかって」

「……」

「もう、後悔したくないよ……。自己満足かもしれないけどさぁ」

そこまで言うと、やっぱり下を向いたまま、小さく鼻をすすったんだ。