きせき


――ふざけんな。

「……次はねぇぞ」

「あぁ」

「次またこんなくだらねぇことやったら、容赦なくぶん殴るからな!!」

「……わかったよ」

俺の気持ちを察したのであろう兄貴は、ほんの少し笑っていて。

あけちゃんの話を聞いた時に、気付いたんだ。

美青と別れてから、毎週のように兄貴が俺の部屋に忍び込んでいた理由に。

それはきっと、兄貴なりの償いで……。

あんなことされたら、怒るに怒れねぇよ……クソ兄貴が。

「まぁ、次なんてねぇけど」

「あ?」

「それに、もう兄貴はいらねぇ」

「は?」

「美青のことは、俺が守るし」

そう言い捨てて、飲み物を取りにキッチンに向かった俺に、

「あっそ。じゃー俺は情報屋にでもなってやるよ。いや、むしろスパイか?」

と、なぜか少し嬉しそうに笑った。

――なぁ、美青?

あの時別れた理由がこれだったとしたら……。

もう、俺達の間に障害は何もないよ?

だから、もう一回、始めよう。

もう誰にも、傷つけさせないからさ。