きせき


お礼の言葉を口にして、公園の出口に向かおうと一歩踏み出して。

そこでくるりと振り返った俺に、あけちゃんが戸惑ったような視線をよこす。

「ついでに、もう一つ聞いていい?」

「う、うん」

「“多田さん”は?」

「え?」

「美青が“多田正樹さん”とよりを戻したってのも、嘘なんだよね?」

少しだけ笑いながら言った俺のその言葉に、目を大きく見開いたあけちゃんは、

「ホント、バレバレの嘘だよね。……あれが美青の精一杯の嘘だよ」

フッと笑い返しながら、そう言ったんだ。

「そっか。じゃー、ホントにもう行くわ。送れなくてごめん」

笑顔のまま手を振るあけちゃんに一言声をかけたあと、歩きながらポケットのスマホを取り出す。

「……」

コールが数回続き、プツリという音と共に繋がったスマホ。

「航太? どうしたんだよ、珍しいな」

「兄貴、話あんだけど」

「話? 今?」

「……あぁ。どこいんの?」

さっきまで知ることのなかった“兄貴が美青にしたこと”を思い出して、つい語調がきつくなる。

「……今からそっち行くよ」

俺の様子がおかしいことに気付いたのか、兄貴はそう言ってすぐに電話を切った。