きせき


「何だよ、それ」

「……」

「じゃー美青は……俺のために?」

あけちゃんから聞かされた真実は、あまりにも残酷で。

俺の知らないところで、協会が美青に……

“宮崎航太と別れるように”

そう言った?

「何であいつらがそんなことにまで口出すんだよっ!! 何で……っ!! 何で俺に、なにも言わなかった!?」

堪えきれず大声を上げた俺に、あけちゃんの肩がビクッと震える。

「ごめん……なさい」

「――……っ」

「ごめんね、航太君」

――違う。

「ごめん。あけちゃんは何も悪くない」

悪かったのは――……

あの時の美青の嘘を見抜けなかった俺だ。

全ては頼りなかった、俺のせい。

突然突きつけられた話に混乱した俺は、落ち着きを取り戻すために自分の前髪をくしゃりとつかみ、大きく息を吐き出した。

――その時ふと、頭の中に湧いた疑問。

「その話はいつされたの? そもそも誰がそんな話を?」

「……え?」

明らかに戸惑いの表情を浮かべたあけちゃんに、嫌な予感がした。

「美青が……航太君のファンに、階段から突き落とされた時があったでしょう? あの時に――……」

そこまで言って、口ごもる。

あの時……。

「……っ」

心臓が、痛い。

だって、まさか――……。

「兄貴?」

「――……っ」

あけちゃんの反応を見れば、それが答えだということは一目瞭然だった。