きせき


“ワールドカップが終わったら”

そう心に決めていた俺は、帰国してからも、美青に連絡をすることは一度もなかった。

だけどその日、俺は思いもよらない人に再会し……。

美青に連絡できたのに、しなかったことを、心の底から後悔した。

練習を終えて、帰宅した俺の瞳に映ったのは、

「あけ……ちゃん?」

マンションの入り口の柱に凭《もた》れかかる、あけちゃんの姿だった。

俺の呼びかけに、ゆっくりと顔を上げたあけちゃん。

「航太君。久しぶりだね」

昔と変わらない笑顔を俺に向ける彼女に、俺は困惑した。

「どうして、ここ……」

「あ~、ごめん。この前、美青がいない隙に、勝手にあの子のスマホを覗いて」

「そう……なんだ」

――でも、何でわざわざそんなことを?

「うん。……ねぇ、航太君。今から少し時間ある?」

「え?」

「美青のことで、どうしても話したいことがあるの」

“美青のこと”?

その言葉もそうだけど、真剣な瞳を俺に向けるあけちゃんに、息を呑んだ。

「……あぁ、大丈夫」

そう答えた俺に、

「じゃー、ちょっと場所移動しよう」

そう言って歩き出すと、近くの街灯がわずかに灯っているだけの薄暗い公園に入り、ブランコに腰を下ろした。